卒業生が語る建築学部

卒業生が語る 1

納得できる設計がしたくて選んだ、新しい道。

家族がきっかけで、高齢者住宅に関心を持つ

現在、介護スタッフとして働く新井さん。一見、建築との接点がないようにもみえますが、新井さんが大学で行っていたのが、高齢者住宅の研究でした。「大学3年のときに祖母が体調を崩し、家族から高齢者向けの住まいについて質問を受けました。でも、そのとき答えられなかった。それで、高齢者住宅を学べる研究室に入ることを決めました」。

それまで、特に関心を持っていた分野ではなかったためか、新井さんにとって、学部の研究期間は短かったようです。「最初からある程度感じていましたが、やはりこのままでは終われないと思い、大学院で研究を続けることにしました」。大学院の論文テーマは「認知症高齢者の外出欲求と環境の関係性に基づくグループホームの環境改善」。そして、関連会社が老人ホームなどを数多く手がけていることも考慮して2008年4月、木下工務店に就職しました。

現場に出て、初めて気づくことがある

新井さんに転機が訪れたのは入社1年目のこと。「会社では介護施設の設計などに携わっていました。大学の研究で施設の調査経験はありましたが、現場の感覚を掴むのは容易ではありません。もっと現場を知った上で設計をしたいと思うようになったのです。幸い木下工務店には関連の介護施設があり、挑戦を奨励する社風もありました。そこで、現在の施設への転籍を希望したのです」。

実際に介護スタッフとして働き始めると、さまざまな「気付き」があったと語る新井さん。「たとえば水道の蛇口にしても、使いやすさを考えて自室内はセンサー式にしています。けれどもそれに慣れた入居者の方は、共用施設にある捻るタイプの蛇口でも手を出して水が出るのを待ってしまう。細かなところに、実は多くの改善点があることがわかりました。また入居者の方だけでなく、スタッフの利便性も重要で、都心ではどうしても高層建築になりがちですが、介護施設は可能な限り低層のほうがいい。これは、利用者目線から研究していたときには見逃していたこと。働いてみて初めて気がついた点ですね」。

現在の仕事にとてもやり甲斐を感じているという新井さん。いつかは建築の道に戻るのでしょうか。「少なくとも3年間は今の仕事を続けて、介護福祉士の資格を取りたいと思っています。その上で、建築分野に復帰したい。ここでの経験をいつか還元できればと思っています」。

リアンレーヴ高田馬場
介護スタッフ

新井 伸二郎

建築学専攻 2008年修了

卒業生が語る 2

埼玉県都市整備部熊谷建築安全センター
建築安全担当

長谷川 千恵

建築学科 2009年卒業

快適で美しい環境を造るのが「建築」の仕事。
経験を積むほどおもしろさがわかります

この一年間、主に建物の安全に関わる検査業務を行ってきました。建物を建てる際には建築基準法をクリアしていることが求められますが、それに加えて福祉・省エネ・防災などの観点から建物をチェックするのが私の仕事です。例えば公的な施設では、車椅子が通れるスロープや使いやすい高さの手すりが設置されているか、完成した建築物が設計図の通りであるかなどを検査しています。建築学は、とても奥深い学問です。大学の研究室では古民家について専門的に学びましたが、設計・設備・デザイン・法律など多領域にわたる知識を深めていくにつれ、美しく使いやすい建物に必要なものが見えてきます。私が県職員の建築職を志望したのは、都市計画から設計まで広く建築に関われる環境で、さらに自分の幅を広げたいと考えたからです。将来の目標は、県の美術館の展示スペースの空間計画に携わること。大学時代に取得した学芸員の資格も活かせるのではないかと思っています。

卒業生が語る 3

東日本旅客鉄道株式会社

福島 郁美

建築都市デザイン学科 2010年卒業

人々に愛される駅舎へと育てたい

建築系の学科は、3年次から研究室での研究が始まります。そこで私が出会ったのは、古民家の保存のためのプロジェクト。実際に集落の人々から話を聞いていく中で、初めて建築を通して社会に触れ、建築が持つ役割の幅の広さがわかりました。就職活動のOB訪問で強い印象を受け、ぜひ一緒に仕事をしてみたいと思ったのが、JR東日本でした。面接では、「建築はカタチだけではなく、使う人の気持ちを考慮したものでなければならない」と、研究室で学んだことを話し、生活者の視点から駅を考えてみたいということをアピール。建築部門で採用をいただくことができました。悩んだ時期もありましたが、JOB STATIONでは精神的な部分でもフォローしていただき、的確なアドバイスをもらうことができました。

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